「子どもは好きなのに、うまくできない」「自分は保育士に向いてないのでは」。そう感じたとき、すぐに辞めるか続けるかを決める必要はありません。このページでは、東京都の調査で同じ不安を持つ人の割合を確かめ、苦手に感じる場面を、園の条件と仕事そのものに分ける表を示します。向き・不向きの判定はしません。表2と表3は編集部の整理です。
保育士に向いてない、と感じる人はどれくらいいる?
保育士に向いてない、という不安に近い項目として、東京都の調査には「職業適性に対する不安」があります。たずねた相手ごとに、この項目を選んだ人の割合を並べます。
| 表1 たずねた相手と質問 | 「職業適性に対する不安」を選んだ割合 | いちばん多かった理由 |
|---|---|---|
| いま保育士として働いていて、退職を考えている人の理由(n=2,399) | 24.3%(20代の女性 31.2%、20代の男性 36.0%) | 給料が安い 61.6% |
| いま保育士として働いている人が、以前の職場を辞めた理由(n=4,110) | 4.5% | 職場の人間関係 38.1% |
| 過去に保育士として働いていた人が、保育士を辞めた理由(n=2,241) | 9.9% | 職場の人間関係 31.5% |
出典:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」の「調査結果の詳細」。どれも複数回答。調査の対象は、2017年4月から2022年3月までの東京都保育士登録者等52,856人(有効回収数18,239件、有効回収率39.7%)。調査の実施は2022年7月25日〜8月14日。ページの更新日は2023年4月13日。取得日:2026年10月9日。
表1から読めることと、読めないことを分けておきます。
- 読めること: 退職を考えている保育士のおよそ4人に1人が、適性への不安を理由のひとつに挙げています。20代では、女性・男性とも3割を超えています。
- 読めること: 実際に園を移った人や保育士を辞めた人の理由では、適性への不安より、人間関係や仕事量を挙げた人のほうが多くなっています。
- 読めないこと: 3つの質問は、たずねた相手が違います。「不安を感じても、実際には適性が理由で辞める人は少ない」とまでは言えません。東京都に保育士登録をした人の調査で、全国の割合でもありません。
同じ調査で、いま保育士として働いている人(n=11,277)の78.7%は、「今後も保育士として働き続けたい」と答えています。
保育士に向いてない、と感じる理由を2つに分ける
保育士に向いてない、と感じる場面は、園や担当で変わる条件のことと、保育の仕事そのもののことが混ざっています。苦手に感じる場面ごとに、園によって違う点と、その確かめ方を並べます。
| 表2 苦手に感じる場面 | 園や担当で変わること | 確かめ方・くわしい記事 |
|---|---|---|
| ピアノや製作など、特定の技能 | ピアノの出番や、担当の決め方 | ピアノの記事の確認表 |
| 保護者とのやりとり | 保護者対応を一人で抱えない体制があるか | 保護者対応の記事の7問 |
| 書類や行事の準備が終わらない | 書類を書く時間が勤務の中にあるか、持ち帰りの決まり | 持ち帰り仕事の記事の8問 |
| 体力がもたない、休めない | 勤務時間、休みの取り方、雇用形態 | 休みの記事の8問 |
| 同僚や上司との関係 | 相談の体制、職員の分担の決め方 | 人間関係の記事の5問 |
| 経験が足りないと感じる | 研修と、担当の決め方 | ブランクの記事の4問 |
| 子どもと関わること自体がつらい | 園を変えても残る可能性がある | 下の「選択肢」の表へ |
上の6行は、園や担当を変えると状況が変わりうるものです。いちばん下の行に当てはまる場合は、保育の仕事との距離の取り方を考える段階かもしれません。どちらに当たるかは、あなた自身が決めることで、この記事は判定しません。
今の職場を変えたいのか、保育の仕事から離れたいのかを分ける考え方は、保育士を辞めたいときの相談先の記事にもあります。
保育士に向いてない、と感じたときの選択肢
保育士に向いてない、と感じたときの選択肢は、辞めるか続けるかの2つだけではありません。
| 表3 選択肢 | 先に確かめること | くわしい記事 |
|---|---|---|
| 今の園で、担当や働き方を変える | 担当クラスや役割の変更、勤務時間の変更を相談できるか | 人間関係の記事(相談の経路) |
| 別の園に移る | 表2で苦手に感じた場面が、次の園ではどうなっているか | 転職の失敗を防ぐ照合表 |
| 雇用形態を変える(パート・派遣など) | 勤務時間、担当する仕事の範囲、収入 | 保育士の派遣の記事 |
| 保育所以外で、資格を活かす | 法令で保育士の資格が求められる職場の種類 | 保育士資格を活かせる仕事の記事 |
| 保育の仕事から離れる | 退職の時期と手続き、次の仕事の探し方 | 保育士を辞めたいときの相談先の記事 |
別の園に移ることを考えるときは、応募先に直接聞きにくい条件を、紹介会社に確かめてもらう方法もあります。頼めることは会社で違うので、保育士の転職エージェントの比較で確かめてください。
保育士に向いてない、と悩むときの相談先
保育士に向いてない、という悩みを一人で抱えているときに使える相談先です。
- 保育の仕事を続けるか迷っている: 都道府県は、保育士・保育所支援センターの機能を担う体制を整えることになっています(児童福祉法第18条の24)。こども家庭庁は、センターが求人・求職などの悩みや相談のサポートを行っていると案内しています(保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先)。支援の内容はセンターごとに違い、センターを置いていない自治体もあります。
- 今の職場のことで困っている: 相手や働き方によって、相談先が変わります。窓口ごとにできることは、保育士を辞めたいときの相談先の記事にまとめています。
- 体や心の不調がある: この記事は、医療の助言をしていません。体調のことは、医療機関に相談してください。
保育士に向いてない、について、この記事では分からないこと
保育士に向いてない、という悩みについて、この記事で答えられないことを書いておきます。
- あなたが保育士に向いているかどうか: 判定できる公的な資料がなく、判断していません。適性の診断もしていません。
- 辞めたほうがよいか、続けたほうがよいか: この記事は勧めも止めもしません。
- 園を変えれば悩みが軽くなるかどうか: それを示す資料は確認できていません。
- 全国の保育士の割合: 表1は、東京都に保育士登録をした人の調査です。
- 経験年数ごとの違い: この記事では、年代別の値の一部だけを載せています。
保育士に向いてないと感じる人のよくある質問
保育士に向いてないと感じるのは、自分だけですか?
東京都の調査(2022年実施)では、退職を考えている保育士の24.3%が、理由のひとつに「職業適性に対する不安」を挙げています(複数回答、n=2,399)。20代では女性31.2%、男性36.0%でした。同じ調査で、いま働いている保育士の78.7%は「今後も保育士として働き続けたい」と答えています。
向いてないと感じたら、保育士を辞めたほうがよいですか?
この記事は、辞めることも続けることも勧めていません。苦手に感じている場面が、園や担当で変わる条件なのか、保育の仕事そのものなのかを分けると、次に確かめることが決めやすくなります。分け方は表2にあります。
園を変えれば、向いてないという悩みは軽くなりますか?
軽くなるかどうかを示す資料はなく、この記事では判断していません。東京都の調査では、いま働いている保育士が以前の職場を辞めた理由は「職場の人間関係」38.1%、「仕事量が多い」25.2%が上位で、「職業適性に対する不安」は4.5%でした(複数回答、n=4,110)。
保育士の資格は、保育園以外でも活かせますか?
活かせます。法令で保育士の資格が求められる職場は、保育所のほかにもあります。職場の種類は、保育士資格を活かせる仕事の記事に表でまとめています。
この記事は、保育士に向いているかどうかを判定しますか?
判定しません。向き・不向きを判定できる公的な資料はなく、適性の診断もしていません。体や心の不調があるときは、医療機関に相談してください。
更新履歴
2026年10月9日:東京都「令和4年度東京都保育士実態調査」の退職意向の理由・以前の職場を辞めた理由・保育士を辞めた理由と、児童福祉法、こども家庭庁の保育士・保育所支援センターの案内を確認して公開。向き・不向きの判定はせず、苦手に感じる場面ごとの確かめ方の表と、選択肢の表を掲載。
